つたえ隊Vol.24 はせみきた太鼓教室ウツラ UTSU-LA はせみきたさん

 

 

はせみきたさん

教室の先生や

教室に関わる人物を紹介する

「つたえ隊」。

 

第24回目は、

はせみきた太鼓教室ウツラ UTSU-LA

で和太鼓を教える、はせみきたさん。

日本人の風土や文化に深い関わりをもつ和太鼓。神事や祭事等で欠かせない存在でありながら、実は大勢で和太鼓を合奏するスタイルは比較的新しいものだという。

はせさんは、沼津の教室で幅広い年代に和太鼓を教えながら、世界を舞台に公演活動をしており、他ジャンルのミュージシャンとも積極的に共演し、和太鼓の可能性を切り拓く第一人者。その和太鼓と、ならいごととの関わりについて聞いてみた。

 

太鼓との出逢い

 

これならできる!が太鼓だった

 太鼓と出逢ったのは小学3年生。当時、父の転勤で北海道に住んでいましたが、高学年だけ参加できる太鼓の集まりに兄と一緒に行き、混ぜてもらったのがきっかけでした。太鼓に興味があったというよりは、兄がやることを自分もやってみたいという気持ちの方が強かったですね。


数年後、引っ越して沼津に戻った時、沼津の子はみんな泳げるし、縄跳びもうまくて、衝撃を受けました。北海道では年に2、3回しか水泳の授業が無くて、泳げない子が大半。自分では運動ができない方ではないと思っていたんですが、とにかくみんなすごかった。
そんな時、子どもだけの黄瀬川太鼓のグループが運動会で演奏するのを目の当たりして、「これならできる!」と。すぐに入れてもらい、そこからどんどん仲間が増え、和太鼓にのめり込んでいきました。

 

 

 

 

 

自分達で得た技術と知識

 

黄瀬川太鼓

当時黄瀬川太鼓には、太鼓を専門に教える先生が不在で、自分たちで工夫しながら創作するような感じでした。構える姿勢など、ごく基本的なところは大ざっぱに教えてもらえましたが、なんかカッコ悪いと指摘されても、どう直したらよくなるかは誰も教えてくれません。「お前たちが先生になって後輩に教えなさい」という感じ(笑)。 太鼓の知識や技術も独学なら、教え方も見よう見まね。でも逆に、その積み重ねがあったからこそ、いざ自分が教える立場になった時、「どこをどうすればこの人は伸びるのか」が実感として分かるので、今となってはいい経験だったと言えます。

結局、黄瀬川太鼓の当時のメンバーが何人か高校まで残り、僕も含めて3人が太鼓のプロになったんですよ。

 

 

 

言葉を超えて通じる瞬間

 

言葉を超えて

太鼓の歴史は古く、昔から世界中で親しまれてきた楽器です。海外で演奏するたびに、革を叩いた音で鼓舞されるのは世界共通なんだと実感しますね。和太鼓であってもあまり日本だけを意識せず、世界中で親しまれ、楽しまれ、共感されるものだという確信はあります。

例えば、韓国にも太鼓を使った芸能が残っていて、演奏も儀式から始まったりします。彼らと一緒に作品を作っている時は、言葉を超えて「この人とリンクしている」と感じることがあるんです。その人のことは何も知らないけど「今、同じ気持ちだよね?」と通じる絶妙な瞬間がある。パッと目を合わせて音楽に戻る「あ・うん」の呼吸。それが僕の場合は太鼓を通じてできるので、通じた時は最高に幸せだなあと思う瞬間です。

 

 

歴史と文化を背負って

 

大勢で演奏するのは最近の和太鼓スタイル

今各地で見かける、大勢で和太鼓を合奏するスタイルはここ何十年かで生まれたものです。歴史の浅い和太鼓というジャンルですが、立ち居振る舞いや服装、リズムの出し方といった部分で、日本の歴史や土壌、凛とした姿を大切にして作品を作りたいと思っています。

太鼓は、神を呼び起こしたり魂を鎮める道具。神楽のような儀式では、一晩中ずっと音を鳴らし続けたりすることもありますが、それによって何かと繋がる…そういう役割もあります。そんな要素を取り込みつつ、自分なりの表現を生み出したい。たまに演奏を聴いて、神々しいものを感じたと感想を言ってくださる方がいると無性に嬉しくなりますね。各地の芸能の技を取り入れていく中で、その土地ごとに大事にされていたもの、誰かに捧げていたもの、そういう土着の「思い」みたいなものが、わずかでも一緒に体に入ってきているんじゃないかと感じることもあります。

 

 

「太鼓って楽しい」という原点を確認できる

 

生徒さんから学ぶこと

人に教えることであらためて自分自身が基礎に立ち返ることがあります。体の動かし方や使い方、一発にどれだけのものを込めるかを伝える時、自分の演奏でもちゃんと大事にしないといけないポイントだと気づかされることがあります。

仕事として太鼓と関わっていると、純粋に楽しいという気持ちから遠ざかってしまうんですが、教室で生徒さんたちが苦労しながら一生懸命太鼓に熱中している様子を見ると、太鼓を楽しんでくれていることがダイレクトに伝わってきます。楽しんでやってくれている姿は、自分の活動の糧になるような気がします。

 

 

歴史と文化を背負って

 

和太鼓の可能性を広げていきたい

これから太鼓が、もっと他の音楽の中に自然と交われるような存在になっていけばいいですね。クラシックやジャズ、ゲーム音楽、さまざまなジャンルの音楽に、自然に太鼓が聴こえるような。

そのために僕たちはもっと工夫をしなければならないし、いろんな音楽を知らなければならない。逆に「和太鼓って何だろう?」ということも突きつめなければならない。不器用な楽器だけど、僕はこれからもずっとその可能性を追い求めていきたいですね。