つたえ隊Vol.22 琉神Reds静岡本部エイサー教室 荻堂勇太さん

 

萩堂勇太さん

教室の先生や

教室に関わる人物を紹介する

「つたえ隊」。

 

第22回目は、「琉球伝統歌舞集団 琉神」のエイサー教室

琉神Reds 静岡本部エイサー教室

荻堂勇太さん。

「エイサー」は沖縄に昔から伝わる伝統芸能。先祖の霊を迎えるために、人々が太鼓や歌に合わせて踊り集う。荻堂さんは、静岡を拠点として広く世界でも活躍するエイサー集団「琉神」の一員として舞台に立つ一方、演出・構成なども手がける。静かな語り口の中に、エイサーや芸能への熱い思いがあふれている。

エイサー、そしてならいごととの関わりについて聞いてみた。

 

 

体を動かして表現する

 

琉神Redsでの萩堂さん

出身は沖縄です。学生時代からエイサーのチームで活動していましたが、就職で静岡に配属となり、こちらでもできるところはないか探したところ、教えてもらったのが「琉神」。
琉神のサテライトチーム「琉神Reds」で練習生として学んだ後、2011年にデビューしました。今は出演するだけでなく演出、構成なども手がけています。

 

昔はおとなしいタイプの子どもで、学校で黙って読書しているような感じでした。でも、スポーツは何かしらずっとやっていたので、自分の中のオンとオフということで、うまくバランスが取れていたのかもしれません。バスケットボールが自分の中で一番だったから、自分の中のオンの部分で部活に全力を注いでいましたね。体を動かして自分を表現するという点では、今も昔もそんなに変わっていないのかもしれません。

 

 

 

 

27歳の決断

 

エイサーはもともと身近な存在でした

エイサーは沖縄の盆踊りです。各地域、各村、さらに小さな集落ごとに自分たちのエイサーがあって、それで自分たちの地域を誇示する意味合いもあります。太鼓を合わせるところもあれば、歌だけのところ、手踊りだけのところもある。それぞれ脈々と受け継がれてきた伝統です。沖縄の子どもたちはみんな、学校の運動会などでエイサーを練習するので、もともと身近な存在です。

 

僕は1年間は教室生として、そのうち舞台にも出るようになりましたが、しばらくは仕事をしながらエイサーを続けていました。でも「もっと舞台に立ちたい」という思いが大きくなり、27歳の時、琉神に入る事を決意しました。それが人生の分岐点。琉神の方が自分の好きなことに挑戦できて、経験値が増えるんじゃないかと考えた末の選択でした。

 

 

 

何でも吸収する

 

目の前のことを一生懸命にやる

エイサー一本に絞ってから4年、自分を見つめる時間は…まだありません。最初はただがむしゃらに楽しんでやっていましたし、今は構成や演出にも加わるようになったので、別の見方、関わり方が求められるようになっています。

 

芸能の道では何十年もやっている大先輩がたくさんいますから、それに比べればまだまだ経験が浅いと感じることが多いですね。だから、とにかく僕ができるのは、目の前のことを一生懸命やること。そして何でも吸収すること。いろいろ参考にして、EXILEやももクロ、PerfumeなどのPVを見たり、歌舞伎を見たりもします。あれだけの人が集まったり、世界中の人を楽しませるには、それだけの理由があると思うんです。ジャンルにこだわらず、とにかく吸収する。そこから自分なりの表現が何か一つでも出せればいいなと思っています。

 

 

一生涯エイサー

 

踊っていて楽しくなっていく

今僕は、琉神Redsで練習生を教える立場でもあります。6歳ぐらいから上は50歳以上と幅広い人たちが楽しんで通ってくれています。もともと僕は先生ではないので、これもイチからのスタート。どういう風に教えたらいい?どうしたら子どもが飽きない?と保育園や幼稚園の先生に尋ねたりもしました。

 

基本、楽しく踊ってくれればいいと思っています。そうしないと続かないから。僕自身、練習の前に一緒に踊っていて、いつのまにか楽しくなっちゃうこともあるんです。そういう楽しさを分かってほしいし、好きになってくれるとうれしいですね。

その上で、いろんな舞台で踊らせてあげたい。例えば本場・沖縄で踊るとか、僕が経験していることを感じてもらえれば。自分たちで企画を考えてそれをみんなでカタチにしていく。その楽しさも伝えられたらいいですね。好きで続けているうちに、年を重ねて太鼓が持てなくなっても、何かしら別のやり方で舞台に立てるようにできれば――そうすれば、エイサーが単なる「ならいごと」ではなく、一生涯を通じてわくわくした気持ちを感じられるものになると思うんです。

 

 

 

沖縄芸能の筆頭に

 

何か新しい「エイサー」もいい

琉神としては、各地にツアーを回れたらいいですね。それが日本であっても海外であっても、知らない土地で知らない人たちといっぱい出会いたいし、話をしてみたいです。

エイサーには、昔から伝わる伝統的なものも、新しい創作ものもあり、その中で琉神は、どちらも取り入れながら魅力的な舞台を作り出すポジションにいます。ですからいずれは琉神が筆頭になって、沖縄の芸能の世界を引っ張っていければいいですね。

 

僕自身は、太鼓が重くて持てなくなったら、踊りで出たいし、何か楽器が弾ければそれでもいい。とにかく舞台。何か新しいジャンルを生み出していくのもいいなと思ったりもします。きりがないですね(笑)。

でも、どの道に進んでも自由、それができるのが琉神なんです。