つたえ隊vol.18 *花育*天使の花仕事 深津美穂さん

 

深津美穂さん

教室の先生や

教室に関わる人物を紹介する

「つたえ隊」。

 

第18回目は、お花を使った心理療法、フラワーハートセラピーの教室

* 花育 * 天使の花仕事

深津美穂さん。

ゆったりと優しい語り口で話す美穂先生。
凛としたロータスのように、品がある大人の女性だが、理知的な彼女の瞳の奥に、過去の経験や体験で傷ついた少女の存在も僅かながら確認できる。

自分が受けた傷を癒すのは、他人ではなく自分自身。美穂先生はお花という存在に救われたひとりだ。

「自分が癒された体験があるからこそ、セラピストの道を選びました。」

そんな彼女に話を聞いてみた。

 

 

いつもお花と一緒

 

お花は日常のもの。芸術にも興味がありました。

子どもの頃から、いつも花と一緒に暮らしてきました。小学校6年間、飼育と園芸の生き物係りを担当したのは、母親が花を好きだったこともあるかな?庭がない家でしたが、家の中には常にお花があり、弟もその影響からか、現在はお花屋さんをしています。生き物に対する愛と言うか、そういうことは自然と継承されていくのかもしれません。

高校時代は美術や芸術関係のことが好きで、絵画や陶芸をやっていましたね。短大も芸術学部に進学しています。心理学の芸術療法を仕事としているのは、今思えば、そういったルーツがあったからかもしれません。

 

 

両親の死で精神的に追い詰められた

 

両親を一度に失い、途方に暮れたこともありました。

20年前、母親が癌で他界し、直後に父も後を追うように亡くなってしまい、一時に両親を亡くしました。親に守られていた私は、一気に後ろ盾をなくして途方にくれ、人生に迷ってしまったのです。

今思えば鬱だったのかもしれません。実は、結婚した直後、体調を崩し入院。退院してすぐに父親に呼ばれたと思えば、そこで母が余命三か月と知らされました。自分の体も心もつらい状態に陥り、精神的にすごく落ちていました。そこから3年半の闘病後、母が他界したのをきっかけに、まるで私の魂も母と共になくなってしまったかのような感覚でした。

 

 

お花だけがここちよい存在だった

 

お花だけがそばにいて「がんばれ」とは言わないここちよい存在でした。

普段からよく弟のお花屋さんに出入りをしていたので、お花と触れ合う機会は当たり前の日常でした。周りに素晴らしいお花の先生がたくさんいらしたので、なんとなくお花が自分を癒してくれることは、その時から体感していました。

母の死後、とにかく「がんばれ」と言う言葉を聞きたくなくて、人と関わるのも避けていました。周りが気晴らしにと、バーベキューや映画に誘ってくれても、私自身は全然受け付けられない状態。その時、物言わぬお花だけが、ひっそりと私を支えてくれたんです。健気にそこに存在していて、その姿にすごく共感したんです。

 

 

フラワーハートセラピーとの出逢い

 

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傷ついた状態で過ごした当時の私のベランダは、白と青のお花で埋め尽くされていました。そんなある時、心理学とお花が統合したフラワーハートセラピーというものを知り、既に心理学を学んでいた私は、すぐに東京の体験レッスンに参加しました。そこで花や花色に心理的な効果があることについて知りました。青と白のお花の組み合わせは、混乱した心を整理したい時。白のお花はリセットしたい時。薄い青色は、ほのかな希望を示唆する色だったことを知り、ベランダの花を見て、その時の自分の心理状態…ちょっとだけ自分が前向きになってきたことに気づきました。その時に、今の生活をリセットして、フラワーハートセラピーの勉強を始めることを決意したんです。


心理カウンセラーは、自分が癒された体験があるからこそできる仕事だと、私は思っています。私はフラワーハートセラピーのおかげで今、とても幸せになれました。そのことを自分だけのものにしておくのではなく、自分を助けてくれたこのセラピーを、みなさんに伝えて還元したいと思ったので、それを伝えていく道に進みました。震災後、明日はないかもしれないという気持ちになり、セラピーレッスンの教室を開くことにしました。

 

 

 

瞬間に寄り添うレッスン

 

レッスンは一期一会。

レッスンは一期一会。その時のその心理状態は、その瞬間だけのものです。だからこそ、その瞬間に、目の前の方に寄り添うことに全神経を集中させて取り組んでいる感じです。
そして、生徒さんがセラピストとして独立したり、夢に向かって進んでいったり等、自己実現して夢を叶えた時が一番うれしいですね。私の定期レッスンに通う生徒さんは、目的意識を持った方が非常に多いのかもしれないです。

 

 

 

お花屋さんとセラピストが当たり前にいる社会が理想

フラワーハートセラピーがアロマテラピーぐらい認知されるようになることですね。誰もが知っていて、それに従事する人がたくさんいて、結果クライアントさんもどのセラピストに依頼するのか、場所や曜日をどうするかも自由に選べるような状態が理想です。それが静岡県の地場産業のお花で実現したとしたら、ものすごいことですよね?そうなれば、お花屋さんのその先の花農家さんだって喜んでくれるものね。

そのためには、同じ気持ちの仲間がいてくれたらいいな。そうしたら広がるスピードも速くなる。今、生徒さんだった2人が同じ資格を取得して手伝ってくれています。それが広がり、静岡県で数百人のセラピストがいてくれたら最高で、お花屋さんの数くらいいてくれたら…というのが夢ですね。1店舗に1人、フラワーセラピストとか。心理学という科学の一派がお花の世界に加わり、癒しを担ったら最強ですよね。

お花は人の心と体を左右するほどの癒し効果があるので、そこに専門的知識とお花屋さんのテクニックが加わったら、素晴らしいものができあがると思います。

(取材協力:花仕事ヴェルデ