つたえ隊vol.11workspaceAOSHIMA 青島由佳さん

 

 

work space AOSHIMAにて

教室の先生や

教室に関わる人物を紹介する

「つたえ隊」。

 

第11回目は、フルート、リコーダー、ルナハープ、そしてクラフト教室もある

workspace AOSHIMA ワークスペース アオシマ

青島由佳先生。

清楚で愛らしいイメージの由佳さん。
いたいけな笑顔、時折見せる、いたずらな一面。
その雰囲気から、あたたかい両親に包まれて育った環境が、おのずと想像できる。

欧米教育独特の知識や教養、文化レベルを備えた彼女。
笑顔のその裏には、計り知れない努力があったことは言うまでもない。 

「表現を大切にした音楽を奏でたい」 

そんな彼女と「ならいごと」との関わりについて聞いてみた。

 

 

 

 

他者からきっかけをもらう


他者からきっかけをもらう

音楽に興味を持ったのは幼稚園の頃から。母が音楽教室に通わせてくれて、音楽っていいなと感じるようになりました。歌うことがとにかく大好きで、小学校までは元気がない時も歌えば元気を取り戻すことが出来ました。中学で吹奏楽部に入ってからは、仲間とひとつの目標に向かって取り組む楽しさや、ハーモニーを奏でる面白さにより惹かれるようになっていきました。

実は私、きっかけをもらうことが多くて、ならいごとは母、吹奏楽部に入ったのも、フルートを志願したのも友達の影響です。中学の体験入部期間中はずっとフルートパートに居て他の楽器は全く試さなかったので、楽器の希望を書く時、第1希望にはフルート、第2~5希望はわからないのでそれ以外の楽器でうめ、フルート以外だったら何でもいいですと志望動機に書きました。
それを先生が、フルートを絶対にやりたい意志の強い子なのだと思ってくれたようです。

フルートはメロディーラインを奏でることが多い楽器なので、フルート向きと考えたのでしょうね。

 

 



負けず嫌い

 

負けず嫌い

はじめの1~2か月は頭部管をひたすら吹く練習。頭はクラクラするし地道な練習ですが、負けず嫌いの私はどちらが長く吹けるかを友達と競い合ったりしていました。

入部してしばらく経ってから、友達に誘われてフルートを習いに行くようになりました。

フルートの色んな技術を教えて頂き、友達とアンサンブルで遊んでハーモニーが綺麗に奏でられた時は、とても気持ち良かったです!

 

 




音大という場所


音大という場所

武蔵野音楽大学のフルート専攻は30数人の大所帯でしたが、自分と同じようなレベルの人がたくさんいました。入学して何か月か経った頃、教授陣がズラリと並ぶ前で、はじめての試験がありました。青島という苗字だったので演奏順は3番目。武蔵野音大ではフルートの人数が多く、成績順でオーケストラやウィンドアンサンブルに参加するメンバーが選ばれるのですが、試験はガチガチに緊張して大失敗。悔しくて、さらにフルートにのめり込み、勉強漬けになりました。その甲斐あって、それ以降は成績を上げていくことができました。

 

先生が常々「演奏には曲の背景を知ることも大切。作曲された時代や作曲家の人となりについても調べなさい。」とおっしゃっていたので、本を読むだけではわからない部分を知りたい、ヨーロッパに行きたいと思い始めましたが、4年生になってもその想いはまだ漠然としたまま忙しさの中に埋もれていました。そんな折、学校からの紹介で生徒教える機会に恵まれました。しかし、実際にレッスンをしてみると迷うことばかり。演奏することと教えることの違いを思い知りました。その当時の私には知識も経験もなく、足りないものばかりだったのです。 それで、進学を決意しました。

 

 



留学

トラベルソフルートとの出会い

留学を迷っていたら父が「高校の友人がザルツブルクに留学していたから聞いてみようか?」と言ってくれて、卒業後に渡欧しました。バロック時代に使われていた、フルートの前身「トラヴェルソフルート」に出会えたことも、この留学の成果です。6年半、色々なことを勉強しました。

 

私が入学したモーツァルテウム音楽大学では、フルートで試験を受けるのは入学試験と卒業試験だけ。それ以外はコンサート形式のクラス発表会を半年に必ず1回以上行い、演奏会を重視していました。生徒はもちろん、一般の方でも自由に聴きに行くことができる演奏会です。

「審査員」ではなく「お客様」の前で演奏し、喜んでいただけたという経験は、自分が何のために演奏しているのかを改めて認識するいいきっかけになりました。

 

 

 

 

 


空気感


留学してわかった空気感

ヨーロッパには歴史的建造物が多く現存し、ザルツブルクでは特に、観光都市として景観を守ることを重視しています。歴史地区を歩けば、かつて音楽家たちが見たであろう風景を垣間見ることができますし、馬が石畳を鳴らすひづめの音やリズムに耳を傾ければ、それもまた自然の中に存在する1つの音楽なのだと感じることができました。雄大な自然、響く教会の鐘の音・・・・部屋の中で楽譜に向かって練習していただけではわからなかった「全て」がそこにありました。

 

日本と違い、電車が10分遅れるのは日常茶飯事で、天気の良い日にはカフェのオープンテラスでおしゃべりをして過ごす…。そんなのんびりと流れていく時間の中で、少しずつ凝り固まっていたものがはがれていき、気持ちに余裕ができていきました。
自分に足りなかったものが何だったのか、それにやっと気づいたのです。

 

 



興味深い授業

面白い授業がたくさん

専攻楽器をどう教えるか。

 

「専攻楽器をどう教えるか。」 オーストリアにはそれを勉強するための学科があり、頻繁に新しい教則本が出版されています。 最近では身体の使い方を考えるアレキサンダーテクニックや、スポーツ界で行われているというメンタルトレーニングもどんどん取り入れられ、教育は日々進化しています。

もちろん日本の音大同様、西洋音楽史やソルフェージュ、民族音楽やJAZZもやりましたが、その中で面白かったのは話し方の授業。例えば人前に立って話す時、手をどこに置き姿勢はどうするか。「えー」「あー」等、間投詞を使わずに話すには どうするかという授業もありました。

 

 

 


大切にしていること、伝えたいこと


音楽は常に共にあるもの

 

私自身が教える時は「笑うこと」を大切にしています。音楽は苦行ではありませんから、お互い楽しく!生徒さんが投げかけてくることを1度認めた上で、さらに良くするためのポイントを伝えたいと思っています。

あと、個人的にはバロック音楽の面白さをもっと伝えていきたいです。バロックにはたくさんのルールがあり、楽譜の中には時としてしっかり見なければ見つからない「作曲者の意図」が隠されています。
近現代の「作曲者の指示が全て書かれた楽譜」と違い、バロック音楽は演奏者の知識とセンス次第!その面白さをどう伝えたら良いのかはまだ模索中です。

私にとって音楽は、「自然と側にあるもの」です。