BTD connection cozyさん

 

 

BTD connectionスタジオにて

教室の先生や

教室に関わる人物を紹介する

「つたえ隊」。

 

第9回目は、ダンス教室

BTD connection

cozy さん。

少年のようにはにかみながら、質問にゆっくりと答えるCOZY先生。
インタビューでは、前に出たがる「俺が俺が!」タイプではなくこんなものもあるよ、といった控えめな印象だ。

しかし、ひとたびステップを踏み、リズムを刻みだすと、その印象は一気に覆る。
その表情は、グイグイと引っ張ってくれるリーダーのように変化し、そのダンスには、こっちに来て踊ろうと言わんばかりの求心力がある。
彼の弾むようなステップが、見ている側とリンクし、体を自然に微動させる。それはリズムの伝染であり、感情が伝わる瞬間だ。 

「HIPHOPは文化。自分を解放するためのツールでもあり、自分を表現するものでもあります。感情もダンスに出るものですから。(COZY先生)」
 小さい頃からダンス一筋という彼と「ならいごと」との関わりについて聞いてみた。

 

 

 

ダンスだけが難しくてのめり込んだ


ダンスだけ難しかった

ダンスに出会うきっかけは姉だった。

「中三の時、二つ上の姉に、無理やりクラブに連れていかれたんです。ショータイムにダンサーが躍っている姿を見て、これならモテる!と、思ってダンスを始めました(笑)。」 

COZY先生が中学の時、今から20数年前にはHIPHOPの教室や教材もなかったそうだが、「ビデオを擦り切れるほど見て、ラジカセ片手に段ボールを敷いて海で踊っていました。鏡もないので、自分がどんな姿で踊っているか分からない状態で、ひたすら。」と当時を振り返る。  

「いろいろやりたがる性格なので、流行っているものは一通りやってみました。スケボーやスノボー、サーフィンとか。モテたかったから。他は割と簡単にできたんですが、その中でダンスが一番難しかったんです。うまくできなくて。」

それが、ダンスにのめり込むきっかけだったのかもしれない。

 

 



HIPHOPとの出会いで変わった

 

ダンスで自分を表現する

ダンスを始めたらダンス一色になった、というCOZY先生。東京の専門学校に入ってもHIPHOPだけを見ていたという。 「JAZZダンス等、他のダンスも授業にあったんですが、ほとんど出席しませんでした。ブレイクダンスとかストリート系のダンスは真剣に受けていましたけど、興味がなかったんでしょうね。今はそれを後悔していますけど(笑)。」

ダンスとの出会いにより、何が変わったかと訊ねると、「モテるようになりました(笑)」と、冗談を言うCOZY先生。
それだけではなかったのでは?と促すと、こう答えた。 

「昔は目立つのは嫌いでした。でも、ダンスを始めたら自分を表現するようになって、目立つかどうかは気にならなくなりましたね。ダンスはお年寄りも子ども楽しめるので間口も広いですし、始めてくれた人や見てくれる人に、その楽しさを伝えていきたいです。」

 

 




ダンスが壁を越えてゆく


ダンスは言葉以上に語る?

COZY先生自身、今でもクラブに足を運ぶというが、「言葉を越えたなって思う瞬間があります。クラブでダンスをしていると、勝手に輪ができて、そこからダンスバトルが始まるんです。存分ダンスでやり合って、その後に握手して友達になることは多いですよ。日本人と海外の人が入り乱れることもあります。DJの流す音楽に合わせてアドリブで一緒に踊ったり…クラブに行くたびに、友達が増えて、今度一緒にやろうということになってイベントに発展することもありますね。」と、言葉のいらないコミュニケーションである、ダンスの醍醐味を教えてくれた。

「表に出るタイプだったり、負けず嫌いだったり、盛り上げる脇役タイプだったり…一緒に踊れば、その人がどういう人かはある程度分かったりしますよ。」

ダンスには性格も現れるという。

 

 



地元を盛り上げたい

地元をダンスで盛り上げたい

地元が好きで、地元でずっと教室をやってきたCOZY先生。

「地元が大好き。夢も地元を盛り上げることですし、自分が生まれ育った地元を盛り上げたいですね。僕の場合は、スケボーもサーフィンも、先輩や友達がやっていて、すんなりいろいろなことを始められましたし、ダンスも仲間がいました。地元のつながりや影響は大きいですね。やりたいと思った時に近くにやっている人がたくさんいたので、ありがたいです。」

ダンス以外にやりたことはと訊ねると「ない」と、キッパリと答えた。

「ダンス以外にやりたいことはありません。ダンスが全て。ダンス+何か。ダンスは必ず付いてくるものですね。ダンス以外に、昔はサッカーもやっていたんですが、ケガをしたくないのでやめました。それだけダンスが大事だから。スノボの誘いも断っています(笑)。子ども達や生徒さんに対する責任もありますから、ダンス一筋ですね。」

 

 

 


ダンスってかっこいいな、で始めてOK


かっこいいから初めてもOK

「ダンスをやるからと言って、必ずしも全員足が高く上がるわけではありません。ちょっとでも興味を持ったら、ここに来てほしいですね。やりたいことをやるためには、全てやってみてから決めればいいと思います。体が硬くても、大丈夫。だって僕自身、体が硬くて、足伸ばしたら、手が床に届かないんですから。これできなくたって、踊れますよ!」

COZY先生の場合は、ダンスはうまく踊ることより感情表現のひとつという位置づけ。

「例えば、イライラしていたらそれを出し、楽しくなったらそれを出し、悲しかったらそれを表現する。それが一番かっこいいと思うんです。ダンスは、自分の感じたままを表現する道具。あまり感情を出せない人でも、始めることでその出し方が分かったり、自己表現が少しずつうまくなる可能性もあります。僕自身、ダンスをすれば感情の発散もできますし、あぁ、今日がレッスンの日で良かったな、と幸せな気分になったりしますね。」

 

 



HIPHOPを通して伝えたいこと

HIPHOPは文化

ダンスだけだはなく、落書きもスポーツも…ストリートで生まれたものがHIPHOPだという。

「HIPHOPは文化から出たもの全てだと思います。明確な定義はありません。ストリートで練習したり、見たり、経験した感じたことを表現するものです。街角で見かける壁の落書きみたいなスプレーアートも、HIPHOP。ダンスを含めた文化がHIPHOPであり、感情表現なんです。」

だとすれば、うまくできることではなく、どう自分を表現するかがHIPHOPということになる。

「ある時、ダンスを辞めようとしていた違う教室の子が、イベントで自分が踊ってる姿を見て、もう一回やりたいと、手紙を持ってスタジオに来てくれたんです。嬉しかったですね。ああ、伝わってるんだな、もっと頑張らなければと思いました。僕は、ひとりでもいいので、何かを感じてもらえるようなダンスがしたいと思っています。発表の場はすごく大事だと思っていますので、定期的にイベントに出演しています。」

最後にアドリブでHIPHOPを見せてくれたCOZY先生。アクロバティックな大技を駆使する派手さを求めるタイプではない。静かに感情を呼び起こすように、着実なステップを刻んでいる。
ダンスを終えた先生の額には汗が輝き、その汗もHIPHOPだということが、この取材で分かった。