つたえ隊Vol.01は、朝日テレビカルチャー清水スクール 鈴木千穂さん

 

 

朝日テレビカルチャー清水スクール鈴木千穂さん

教室の先生や

教室に関わる人物を紹介する

「つたえ隊」。

 

第1回目は、

朝日テレビカルチャー清水スクール

受付も事務仕事もこなし、生徒さんや講師とのコミュニケーションをとる鈴木千穂(すずきちほ)さん。

優しく見守る母のような、柔らかい人当たりの千穂さん。スクールに通う生徒さんと先生とをつなぐ架け橋として、スクールの顔として、清水スクールに籍を置いている。

もともと作ることが好きで「本当はクラフト系の教室をもっと集めたい」と笑顔で話す彼女。丁寧にことばを選び、ものを大切に扱う鈴木さんと「ならいごと」との関わりについて聞いてみた。

 

原点は「造形教室」 「じょうずにかけたね」がはじまり。


原体験は「じょうずにかけたね」

「小学校低学年から通っていた造形教室の影響で、小さいころの夢は、絵描きさんでした。絵を描くのが好きだった私を見て、両親が通わせてくれたんだと思います。書道やそろばん等のならいごともしていましたが、これが一番楽しかったですね。先生の顔や何を描いていたかは忘れてしましましたが、楽しかった記憶だけは鮮明に残っています。学習塾に通うようになってどれも辞めてしまいましたが、原点はこの造形教室でした(千穂さん)。」

 

幼少時の原体験は、その後の個人の人格を形成するのに大きく影響するというが、千穂さんの場合は「絵が上手だね」と小さい時に褒められた造形教室の記憶が原体験となっている。

親が押し付ける早期教育ではなく、こどもの「楽しい」を見抜いてさせる原体験は、こどもの成長や人格に大きなきっかけを与えてくれるのかもしれない。

*原体験=記憶の底にいつまでも残り、その人が何らかの形でこだわり続けることになる幼少期の体験

 

「好き」を抱きつづけて…

 

「好き」を抱きつづけて…

中学でも絵を描き続けていたという彼女。商業高校に進学し、商業美術の部活に入った。

「商品のポスターを描くような活動でした。商業高校でしたが、自分のクラスは進学コースで、美術大学に行きたいと思って相談したら、“美大はお金が掛かるからダメ!県内の大学にしなさい”って言われました(笑)。美術系の学部ではなかったのですが、就職する時、どうしても美術系に就職したくて。道路のデザインをする総合商社に入りました。」

道路をカラフルなブロックやレンガでデザインし、施工する営業職として、現場に携わっていたという。
「部署が異動になり、“何か違う”が降り積もってしまって。ある時一般のお客様向けの感謝祭があり、カルチャースクールからウォーキング講座で講師を招いたんです。
“ありがとう”とお客様に感謝されて、やりたいことが明確にわかってしまったんですかね。」
女性の特性が活かせる仕事がしたいと、彼女が気づいたのは、この瞬間だった。

 

正解のない仕事の方が面白い 

 

正解のない仕事の方が面白い

実は異動になった時、専門学校に通って建築士2級まで取得していたそうだが、「道路は平面だけど家は立体。勉強すればするほどペーパードライバーであることを感じてしまい、自分の建てた家は怖いなって(笑)。その後学校に通ってCADも取得しましたが、ペーパードライバー感は否めませんでした。勉強することで安心していたのかもしれませんね。」と当時を振り返る。
商業高校で習った簿記を活かし、会計事務所に転職したが、「今まで総合職で自由に営業をやっていたのとは180度内容が違う会計業務。

誰がやっても同じ結果になる仕事は私には向かないと思い立ち止まった時、女性としての特性が活かせる仕事がいいと気づいたんです。」と、今の仕事にたどり着いたという。

「特に募集はしていなかったのですが、当時の常務に“就職したい”という内容のメールをしてしまいました(笑)。」と話す。

その意思が通じ、今は朝日テレビカルチャーの職員として清水スクールにて企画も担当している。

「正解のない仕事の方が面白いですね。」
これが、静かな努力家である彼女がたどりついた、ひとつの答えである。

 

間口が広く、距離が取りやすいという“カルチャースクールならでは”の良さ

 

個人宅教室の良さは、「密な仲間や友達と時間を過ごす」ところにあり、「ならいごと」単体よりもむしろその周辺に特性があるが、カルチャースクールでのひととひとのつながりは「ならいごと」の内容によるところが強い。

「カルチャースクールならではの良さは、ひとつの目的のために集まり、終わればそれぞれの生活に戻るところかもしれません。日常を離れて集中して取り組むので、長続きするという要素もありますね。」
求めればつながれるが、適度な距離感を保つこともできるのも、カルチャースクールの特徴だ。


やりがいを噛みしめる

 

やりがいを噛みしめる

清水スクールで5、6年前、受講生の少ない土曜日に、子供向けのバレエ教室を企画して開講した千穂さん。

「最近私は清水に戻ってきたんですが、最初に募集して来ててくれた子達はもう中学生。その親御さん達が先生にお礼を言っていたのを聞いたんです。“小さいころから習って、姿勢も良くなり協調性もついて、この子は成長した”と。クラスも1クラスだったのが6クラスに増えて。子ども達にとって、誰が講座を企画したかは関係ありませんが、その子がバレエを始めるきっかけを作れたこと、立派な姿が見れたこと、その子の人生に少し関われたことが本当に嬉しかった。こちらは入れ物を作って見守っているだけですが、その入れ物の中でこの何年間楽しんでくれたと思うと。」

 物を売りに行く場合、相手によっては嬉しくない場合もあるが、趣味や時間、友達といったように広がりのあることを提供していることで「ほんとうに微細ですが、受講生の方の人生に関われることが楽しい」と、彼女は現在もこの仕事のやりがいを噛みしめている。