パンチュール・ペイザンヌ作家 青木春美さんにインタビューしました。

まるでモデルさんのようなスタイルの美しい春美さんは、 スイスで出逢ったパンチュール・ペイザンヌの素晴らしさに魅せられて、 日本に運んでくださった方。
一番のラッキーを運んでくれたのはご主人だと、やさしく教えてくださいました。
向こう側にいる相手を想って描くの。という春美さんはキラキラと輝いていました。 


 

パンチュール・ペイザンヌって? 

パンチュール・ペイザンヌ作家 青木春美さんの作品

スイスのジュネーブはフランス語圏。木に絵付けをすることをフランス語で「パンチュール・ペイザンヌ」というんです。 「パンチュール」が「ペインティング」、「ペイザンヌ」が「農民の、田舎風の」という意味なんですね。結局「フォークアート・ペインティング」とイコールですね。 日本では「トールペインティング」とか「デコラティブ・トールペインティング」と言います。 そして、国や地方によってその技法はいろいろ。 「パンチュール・ペイザンヌ」って馴染みが薄い言葉だけど、その言葉で伝えないと違ったものになるかなと思って、この名前でできるだけ活動しています。 15.6世紀からの歴史があるんですよ。伝統を大切にしたいと思います。 描く素材は木、革、ポリエステル、ガラス、陶器・・・何にでも描けますね 。

 

 

現在の活動を教えてください。

定期的に銀座、横浜、静岡、名古屋、香港でお教室を行っています。

作家としては、雑誌社からの依頼で作品を作って写真を載せたり、展示会に参加したりしています。焼津のアトリエでほとんどの作品を作っています。

 

作品を作る時は集中して何時間もやります。オリジナル本は作品点数が多かったけど、あとの雑誌は1点、2点です。1つの作品を仕上げるまでは、前もってデザインや色を考える時間を入れると1ヶ月くらいかな。実際に制作する時間は4~5日くらい。作業しながらも悩むこと大です。そしてその作品をレッスンで教える時には、順序立ててやるので仕上がりは早いですよ。生徒さんのペースにもよりますけどね。 デザイン、スタイル、色、文字(言葉)などを考えるのは楽しいですね。テレビを観ている時や電車に乗っている時に浮かんでくると、もう制作の方に頭が切り替わります。手がアイデアを形にする不思議な動き(指揮者のような)をして子供たちにはよく「お母さん、また・・・」って注意されました。(笑)

 

 

 

パンチュール・ペイザンヌに出逢ったきっかけは? 

パンチュール・ペイザンヌ作家 青木春美さん

主人の転勤についていったスイスで出逢いました。1985年でしたね。ジュネーブの旧市街を散歩中、手芸屋さんに飾られていた作品を見た時に「あ、これやりたい」って思ったんです。聞けば先生は、スイス・ドイツ系の人で、言葉はドイツ語とフランス語を話すとか・・・そこで、家庭教師についてフランス語を勉強。2人目が生まれてすぐにお教室に通い始めました。従妹が半年一緒に住んでいたので、彼女に子供をみてもらったり、保育園に預けてレッスンに通いました。これ好きだなあと思えたこと、私に向いているって思えたこともあったけど、やることができる環境が整っていたということが大きかったです。もちろん子育て中心の生活でしたが、駐在員の妻だったので、時間はたっぷりあったんです。

 

先生について週1~2回、3年くらいで習得しました。先生に日本で教えたい?と聞かれて、広めたいと答えると、「教えるって大変だけど頑張りなさい」と言っていただきました。その時の作品と今の作品を比べると上達したなって思いますね。

 

 

 

 

印象に残る出逢いは?

パンチュール・ペイザンヌ作家 青木春美さん

人生の転機と考えると主人かな。。。主人の赴任でスイスに行き、日本に帰って来たのが、ちょうどこのペイントがブームになる少し前でした。日本デコラティブペインティング協会という全国組織もできあがったばかりの時で、みんなでがんばっていこうという時でした。そう考えると一番のラッキーを運んできてくれたのは主人ですね。スイスから帰国した4年後の主人の転勤先の香港では、駐在員の奥様方に教えるようになりました。その方たちが帰国されて、各々の土地で広げてくれていったんです。友達の輪もスイス・横浜・香港と、主人について行く先々で、どんどん広がっていきましたね。

 

やってみたい、教えたいと言ってくれる方もたくさんいらっしゃいました。資格を取りたいという人、ずっと趣味でやっていきたい人、それぞれ楽しみ方がありますね。長くやってくださる方も多いですよ。趣味として一生楽しめるものですから。男性の生徒さん、ご夫妻でみえる生徒さん、お子さんもいますよ。好きだなって思った方には一度体験して欲しいですね。

 

 

 

作家や講師としてのこだわり、大切にしているものを教えてください

パンチュール・ペイザンヌ作家 青木春美さんの作品

講師活動は、人と人とのふれあいの中で成り立つものなので、来てくださる人を大切に想うことかな。ペイントをやることだけじゃなくってお付き合いを大切にしようって思っていますね。

作品を通して出会う方の顔を思い浮かべて描いています。 教室では言葉づかいも気を付けます。趣味でやろうと入ってくる方が多いので、楽しくやっていただきたい。だから楽しくやるにはどうしたらいいかってことを考えていますね。 作品を作る時は、できあがった作品の姿を想像してそこに向かってGoですね。パンチュール・ペイザンヌを好きでいてくださる方々がどう感じてくれるかなと考えて描いています。批評してくれる人がいるのは嬉しいことですよね。生徒さんが家に持ち帰ってご主人や家族にほめられたと聞くと本当にうれしいですね。

 

 

 

夢は?

良い作品を生徒さんに創っていただくことはもちろんですが、ペイントを通して人と人との絆が深まってくれることが私の喜びであり、夢でもあります 。

 

 

パンチュール・ペイザンヌ作家 青木春美さんの作品

 

 

パンチュール・ペイザンヌ作家 青木春美さんの作品

パンチュール・ペイザンヌ作家 青木春美さんの作品

 

 

 

 

「ならいごと.jp」の読者へのメッセージ 

やりたいと思った時はパワーがある時。時間のやりくりなどは、気持ちが強ければなんとかなるものです。また続けられると思います。続けることによって、そこから何か見えてくるものがあると思います。


 

 

青木さんにとってパンチュール・ペイザンヌとは?

 

パンチュール・ペイザンヌ作家 青木春美さん

感性を高め、人生を豊かにするものの1つですね。

 

これを通して嬉しいと思うことがいっぱいあるので、私にとっては元気の源、活力ですね。幸せを運んできてくれるもの。人とのつながりを作ってくれたものです。さらに向上するよう、これからも頑張ってペイントに取り組んでいきたいと思います。

 

 

 

 

パンチュール・ペイザンヌ作家 青木春美さん

 

 

 

PROFILE

青木 春美  あおきはるみ

焼津市生まれ。静岡のテレビ局で報道制作の仕事に携わる。1984~1990年までスイスのジュネーブに在住。アンヌマリー・ビーテンハルダー先生に師事し、スイスのフォークアートペインティング(トールペインティング)であるパンチュール・ペイザンヌを習得。帰国後、銀座ソレイユフォークアート アカデミー、東急セミナーBEなどで指導にあたる。1991年には国内有名メーカーのチョコレートパッケージデザインを制作。1993年には個展・作品展を開催する。1994~1998年まで香港在住。帰国後、レッスンを再開し、現在は東京、神奈川、静岡、愛知、香港にて定期レッスンを行っている。日本におけるパンチュール・ペイザンヌの第一人者。著書は「パンチュール・ペイザンヌ」(雄鶏社刊)「4つのトールペインティング」(日本ヴォーグ社刊・共著)、「トールペイティング」(グラフィック社刊・共著)など多数 。