絵描きの斎藤サトルさんにインタビューしました。


始終にこやかに語る斎藤さんの口調は癒しそのもの。彼しか出せないタッチには感謝の気持ちが込められているんですね。だから温かくやさしいのでしょう。

 


現在の活動 を教えてください。

お寺の天井がもてがけます。

今は基本的な絵画の注文をベースとして、お寺の天井画や掛け軸を描いたり、年に50~100日ぐらいは、出張でアートのイベントや講演会をしています。会社のロゴマーク、名刺も作らせていただいていますね。名刺は最初友達に頼まれて、その友達の名刺をもらった方からの注文で始まりました。ユニークな名刺なんですよ。本なども人から人へと伝わったようです。

 

 

 

 

 

 

早描きパフォーマンスは最初から?

ひととひととき講演での1枚

もともと絵は好きだったんですよ。小学校3年生のころ日曜座禅会に行った時、「きっと座っていられないだろうから」と紙と鉛筆を渡されて、「風景でも描いていなさい。」と言われたんです。キレイな仏像を描いていたら大人の方がその絵を買ってくれました。それが最初のお客様ですね。その後、いろんなバイトをしながら自転車で旅をしていたところ、心の師匠小林正観先生に出逢いました。手相や人相をみる方で、逢って2日目に私の顔を見て「斎藤さん、画がいっぱい売れても威張っちゃダメですよ」と言ってくれたんです。私が絵を描くことも知らなかったのに。そういうのがわかる方でしたね。21歳の4月1日に絵描きになるという宣言をしエイプリルフールだったので、あとで言い訳ができるでしょ。先生の挿絵を描くようになり、その絵を見て注文もくるようになりましたね。

 

 

 

 

運命の出会い・印象に残る出逢いは?

小林正観先生との出会いが自分を変えた!

なんといっても小林正観先生ですね。
本の挿絵、グッズのデザインをさせていただいたのですが、文章を説明する絵は入れず、その空気を作ってほしいと言われたんです。ホッと休まる挿絵を描いてほしいと。それをさせていただいて、とてもありがたかったですね。群馬県のお寺の和尚様が、天井画を初めて描く時に「任せます」と言ってくれたことが自分の中では大きいですね。 

 

 

 

 

制作する上で大切にしているものは?

祈りの形の美しさを表現しています。

くさい言い方だけど、感謝ですね。画の勉強もしたことのない自分にという気持ちで、今の精一杯を描かせてもらっています。我を抜くために、何も考えないで自然の姿に近い形で描いています。我が入ったな、小手先のテクニックになってしまったな、と思ったら捨てて描き直しますね。数をこなすうちに、力の抜き方はだんだんわかってきました。こだわりは、我を取ること。自然に筆が動き、描かされていると思うことも正直あります。ものづくりって基本的にネガティブになるんです。それを超えた時に素晴らしい作品が生まれると思います。ネガティブになった時には、こんなダメな自分でも生かしてくれる世界がある、ダメな自分を生かしてくれる、頼ってくれている。そう思えるまで早いタイミングで持っていけるようになりました。創作の苦しみを味わい、それを否定しないで早い段階で、画を通してみなさまへの感謝を伝えています。でもこれからは人と知り合うためにも、自分を出すものも描こうと思っています。

 

 

 

 

これからの夢は?

絵描き 斎藤サトルさん

関わった方の名前を残して行きたいですね。
天井画には自分のサインは入れずに、関わった方の名前を刻んでいます。それが私の恩返しの形です。

「人は二度死ぬ。体は死んでも名前は残す。」という話があります。
二度目の死を伸ばしたい人のためにも奉納者のところにこの先もずっと名前を刻んでいきたいですね。

 

 

 

 

斎藤さんにとって「描く」とは?

恩返し・恩送り

恩返しと、恩送りです。

いただいたものをパスするような感じで送っていきたいですね。セルフイメージが自分は低くて自信がないのに、頼んでくれる人は応援してくれていると思って、恩返しの気持ちで描いています。画しか描けないので、画を通して恩を返し、送っていますね。

 

 

 

 

「ならいごと.jp」の読者へのメッセージ

自分を信じてくれる人がいるのなら喜んでやってみてください。流れてきたものを楽しんでください。誰からも信じてもらっていない人はいないのです。「お茶碗を洗って」と頼まれることもそう。最初は小さなことだけど、人が何か関わってくれた時に疑わないで受け入れる、失敗を恐れないでやってみること。そこに敏感になっておくとすごくいいです。こんな仕事をやりたくないというのはセルフイメージが高いだけ。頼まれやすい顔になっておくといいですよ。

 

絵描き 斎藤サトルさん

 

 

 

PROFILE

斎藤サトル さいとうさとる

1977年静岡生まれ。十代の頃よりベストセラー作家・小林正観さん本の挿し絵や関 連グッズのデザインを担当。1998年絵描きとして独立。神秘的な絵を描くことで人気を博す。仏教画・天使の絵画・イラスト・挿し絵・製品デザイン・絵馬 看板デザイン・似顔絵・ハガキ絵などを制作。似顔絵師としての人相学を用いた個人セッションは 十五年で通算約一万人におよぶ。祈りの形・喜びの表現をめざし、心地よい絵、楽しい絵をテーマに 展示会やお話会・講演会などで活動中。約5分で2畳サイズに絵を描きます早書きパフォーマンスは圧巻。仏教美術などの逸話を通し 『幸せとは何か』『喜びを見つけるコツ』を面白おかしく伝えています。現在、歴史あるお寺の天井画を数件同時制作中。

 


アトリエ・サトルーチ/http://satoruchi.moo.jp/01home.html