vol.16 大道芸ワールドカップin静岡 実行委員会委員長 杉山元(すぎやま はじめ)


All for you. It’s my pleasure.(すべてはあなたのために。それが私の喜びです。)
「笑顔と感動」というテーマのもと、ボランティア精神を常に持ち、
市民ボランティアが動きやすい環境を作る。それが実行委員長として徹底して守ってきたこと。

年々規模を拡大し、今年で第20回を迎える大道芸ワールドカップin静岡。
実行委員長として10年目を迎える、杉山元さんに改めてこの大会の根本にある精神を語ってもらった。

 

 

大道芸ワールドカップの実行委員長とは

杉山元さん-画像

このイベントは大道芸が好き、人づくり、まちづくりのために役に立ちたいという志をもった人たちで形成されるボランティア組織であり、上も下もありません。実行委員長は統括の責任者ではありますが、各担当の方にお任せしていて、口出しはしませんね。言い方は違うかもしれないけど、イベントの象徴的存在かな?元気や絆を作るため、行政や協賛社との架け橋になるという、実質的には「裏方」だと思っています。
委員長という立場から、様々な人と接する機会に恵まれ、大道芸そのものが、今では自分の原点であり、自分の居場所となっていますね。

 

 

大道芸ワールドカップin静岡の立ち上げ

当時の静岡市長 天野氏が言いだしたことなんです。静岡市第7次総合計画の基本テーマ「人の集まるまちづくり」という新しい価値観の模索の中で、生まれました。当時からの基本コンセプト「人を元気にする、まちを元気にする」、これは今も変わりません。
「テーマ=地方の時代」「人=ボランティアスタッフ」「資金=市制100周年余剰金」。この3つが組み合わさり第1回目が開催されたのです。準備は1年半以上を要しました。立ち上げ段階から関わらせていただいたことは、誇りですね。
とはいえ、第1回目は燦々たる有様でしたけどね。

 

杉山元さん-画像

印象に残っているできごとや出逢い

1997年(第6回目)パフォグラスを自費で3,000個作り、個人でブースを1区画買って、販売をしました。前の人で見えない演技もこれさえあれば!と自信満々だったのですが、1日目15個、2日目は50個しか売れませんでした。今となっては笑い話ですが、当時は真っ青になりましたね。気の毒に思った仲間たちが、手を貸してくれて、なんと最終日までには完売してしまったんですよ。観客の山にパフォグラスがたくさん立っているのを見た時、涙がでましたね。収入は全て寄贈しました。翌年からは公式観戦グッズになりました。気持ちの上で助けてくれたことがとてもうれしかったですね。

出逢いと言えば、やはり実行委員会のメンバーですね。メンバー同士での結婚も20組以上になるでしょうか。子連れ姿を見ると、それはそれはうれしいですね。また、委員会のスタッフから大道芸人になったという人もいます。のべ何人の方に出逢ったか、数えきれませんね。

 

苦労したことは?

第10回目に出場したフランスのカナジはハプニング系のアーティストは、ビルの窓から降りてきていたずらパフォーマンスをするやりたい放題のグループ。私が担当の時、彼らがやるパフォーマンスが日本の社会ルールの中では受け入れられない、文化の決定的な違いがあったことが衝撃的でした。
日本では演技のほとんどができない。バスを突然止めたり、電話ボックスの上に乗ったり。
文化の違いが許容範囲の違いだと痛切に感じましたね。
実は未だにあるんですよ。日本とヨーロッパの違いに愕然とした悔しい想い出ですね。

 

 

大道芸を開催するにあたって大事にしていることは。

杉山元さん-画像

All for you. It’s my pleasure.すべてはあなたのために。それが私の喜びです。
この精神は持っていたい、持たなくてはいけないものですね。ボランティアスタッフの方々にとっても大前提で、基本だと思います。それがあればいろんなことが解決できるんですよ。
委員長の立場として言うと、いかにスタッフが動きやすいか、楽しんでもらえるか、その環境を整えていくことが使命だと思っています。それが大会自体も素晴らしかったということにつながると思います。

 

 

今後の夢・目標は?

いずれ私が実行委員長を退いても、もっともっと色々なものをのぞいてみたいとは思います。
大道芸のこれからですが、「大道芸と言えば静岡」というのは実行委員みんなの夢。
DAIDOGEIという言葉が英語で通じるようになること。最終的には芸術文化創造都市 静岡を築きたい。365日街角でなにか面白いことに出会える街づくりが夢ですね。文化に対する市民の意識や、経済効果もアップすることもその一つです。大道芸は静岡市内ではかなり認知されているけど、まだ街の風景という意味では、まだまだ足りないと認識していますね。それが大道芸でなくて、演奏やクラフト系のパフォーマンスでもいいと思います。それがひとつの文化となっていくのだと思います。

 

ならいごと.jpの読者へ

杉山元さん-画像

今年は20周年ということもあり、特別な企画が盛りだくさんです。
グランドスペクタルショーは、大仕掛けで見上げる形のパフォーマンスなので、多くの方にみていただけます。チケット不要なので、チェックしてほしいですね。また歴代のチャンピオンが6組も集まってきます。
そして、今年のポスターにある「笑エネ」は笑うエネルギーという意味です。「笑エネ」は、人にも環境にもやさしい。そんな思いのこもったポスターです。
見方のコツは、やはりガイドブックなどで見たいアーティストを絞っていくことですね。スケジュールを立てて30分前には会場に着き、できれば一番前で座って観ることです。
いかに楽しめるか、それは、まず行くこと、そしてその空間に入っていかに感動できるかなんですね。そしてその感動を持ちかえってほしいなあと思います。

 

 

ご自身にとって大道芸とは

人との出逢いの宝庫であり、大切な場所ですね。
大道芸に関わること、実行委員長になって得たものは、とても大きく、人生を豊かにしてくれています。

 

 

 

PROFILE

杉山元 すぎやまはじめ
静岡市生まれ。
大道芸ワールドカップin静岡実行委員会委員長。1992年に始まったこのイベントの立ち上げ段階から参画。ポイント運営を中心としたプロデューサーを経て、2002年の第11回大会より2代目委員長。大道芸グッズの潜望鏡「パフォグラス」の生みの親。静岡サイクルジャムや大御所四年祭の実行委員を歴任。本職は広告会社役員。県広告業協会理事長。


大道芸ワールドカップin静岡 http://www.daidogei.com/

大道芸ワールドカップin静岡【20周年記念サイト】http://daidogei.tnc.ne.jp/