vol.07 プロカイトサーファー 杉井香織(すぎい かおり)


羽衣伝説で知られる清水区三保を拠点に活躍しているのが、今回のスペシャリスト、
プロカイトサーファーの杉井香織さん。
国内トッププロである彼女からの皆さまへのメッセージは、
「新しい風に自ら身を委ねると新しい興味が動き出す」。
自然相手の習い事は、とても収穫が多いという。
自然体で楽しむという衝動に純粋に従ってきた彼女は、
カイトという羽衣を自在に操る天女のように海上を舞っている。

 

 

カイトを始めたきっかけがユニーク!

ユニクロのCMなんですよ。海上でカイトサーフィンの動きだけを映した映像が衝撃的でした。BGMもナレーションも何も無くて、「これは何だ!?」って。留学を終えて帰国したタイミングで何かやりたかったときに、心を動かされました。マリンスポーツは以前からボディーボードをやっていたこともあり、改めて「やっぱり海が好きだったのかな」と再認識しました。それで、やってみようと。

 

杉井香織さん-画像

スクールで習い始めて、やはり飲み込みは早かった?

いや、出来なかったですね。とても難しかったです。最初の何年かは何やってるのかよくわからない状態でした。当時はカイト自体が日本に入ってきたばかりで道具も発展途上でした。出来なくても続けられたのは、「何とかして乗ってみたい!」という気持ちと、内海さん(マカニサーフ)や周りの良い仲間がいたこと。それと静岡は風の環境がいいので、チャレンジの機会が多かった。

 

 

 

現在「年間ランキング1位」ですね

杉井香織さん-画像

いつでも勝てるっていう自信は、全然無いんですよ。何よりまだまだ実力が無いので…。でも出場する大会に対して「出るからには勝ちに行こう」という気持ちだけはいつも持っています。
プロとしてスポンサーや皆の力を借りて大会に出るので、当然意識は今までとは違います。皆が乗れないコンディションでも私は乗れなくてはいけない。だから普段から極力、海に出るように意識はしています。

 

 

スクールについて教えて下さい

スクールでは、私は現在サポートとして参加しています。最初に無料で基本的な体験ができるので、そこからはその人のやる気次第です。カイトは道具が進歩して今や子どもでもできるスポーツなので本当に気軽に始められます。静岡の風は夏穏やかで、冬になると遠州の強い風が吹き、一年中楽しめる。冬でも暖かい静岡だから、マカニサーフのメンバーにはそれを狙って海に出てくる人も結構います。夏は「冬眠(夏眠?)」して、冬に目覚める、みたいな(笑)。

 

カイトをやっている時間とそれ以外の時間、メンタルの切替えについてはいかがですか?

プロといっても、平日は違う仕事に就いて働いています。仕事って知らないうちにストレスがたまりますが、私はそんなときでも、体が疲れていても、海に入るともう忘れちゃうんですよ。だから、どんな事があっても仕事が嫌にならない。仮に毎日海に居られる生活だったら、その方が自分自身のモチベーションをキープするのが大変だと思う。毎日海に入れない分、海に入れたときの喜びが大きいんです。

 

今後の目標は?

技とか数字でトップには立たなくても、「スタイル」のある人に憧れます。私もその「スタイル」を確立することが目標です。ひとつのトリックの修得だけに集中するのではなく、広い視野で自分のライディングに「スタイル」を出したい。私自身、カイトを楽しんでいる!と言うのが観ている人に伝わるような乗り方をしたいです。それを見て、カイトを始める人が増えてくれたら嬉しいですね。

 

カイトサーフィン・マリンスポーツの魅力とは?

スポーツって何でもそうですけど、普段と違う所へ行って体を動かすだけでスッキリしますよね。それに外にいるだけで新しい事を知ることができる。私もマリンスポーツを始める前までは別に自然に興味とかは無くて、でも始めると外の景色や風、月の満ち欠けにも興味が出てきて。新しい興味が色々生まれるのって楽しいですよね!それと、新しい環境で出会う仲間の存在。それでまた自分の視野が広がる。カイトの場合、風や波、色々な条件が関わってくるので、その日のコンディションに大きく左右されます。毎回同じコンディションでない事も魅力のひとつでもありますし、コンディションが悪かったら「自然相手だから仕方ない」って考える。気持ちの余裕みたいなものができてくるのも魅力です。

 

杉井香織さん-画像

習い事でスポーツがしたい!体を動かしたい人へメッセージを

とにかく何でもやってみる。新しい環境に身を置いてみることが大切だと思います。やっぱり一人だから不安ですけど、そこには同じような気持ちの人たちが集まるんですから全く心配は要りません。だいぶ世界が広がるんじゃないかな。このスクールも一人で入ってくる人が沢山います。あとは、体を動かして楽しめばもう、嫌なことがあっても忘れちゃいますよ。だからこそ長く続ける人が多いんだと思います。

 

 

 

PROFILE

杉井香織 すぎいかおり
静岡県出身。趣味でボディーボードを7年、スノーボードを10年経験した後、2000年に日本ではまだめずらしかったカイトサーフィンと出会う。打ち込んでいくうちにスキルアップし、05年より大会にエントリー。08年にはJPKA※1舞阪大会優勝を皮切りに浜野大会でも優勝、さらに08、09年には日本プロカイトサーファー女子部門で年間ランキング1位を獲得する。

 

カイトサーフィン
専用のカイトが風を受けることで推進力を得てサーフボードを操作し、水上を滑走するウォータースポーツのこと。

※1 JPKA…日本プロカイトボーディング協会


風と共に過ごす日々を綴った杉井さんのblogはこちら
Kaori's AQUA ActivitiesMakanisurf http://kaori.aquas.jp/

カイトを始めたい! 清水区三保のサーフショップ
『MakanisurfKitesurfing School』http://www.kitesurfing.jp/